特集
Case1 生分解性ポリマーPHBH
Case2 乳酸菌事業

Case Study 生分解性ポリマーPHBH

Case Study 生分解性ポリマーPHBH

近年、マイクロプラスチックによる海洋汚染が生態系へ影響を与えるとして世界的な社会問題となっています。カネカが着目し、開発したPHBHは、これまで長く培ってきた発酵技術と高分子技術を融合させた、世界が抱えているプラスチック問題の解決の大きな糸口となる製品です。100%植物由来のバイオポリマーで海洋における生分解性を有する技術をさらに拡げ、理念を共有できるパートナーとともに、社会課題の解決に寄与する使いやすい製品開発を進めています。

リスクをチャンスに変える感度と目利き力

カネカは創業以来、発酵技術をコアの一つとして技術展開を図ってきました。長年にわたる酵母の研究で培った培養技術を、組織をまたぐ全社プロジェクトの結成などにより発展させることで、これまで難しかった還元型コエンザイムQ10の量産化方法確立をはじめ、医薬品原料や機能性食品素材を次々と展開。さらに、近年発展の目覚ましい合成生物学的技術を活用し、スマートセル(高度に機能がデザインされた生物細胞)によるモノづくりを通じてバイオエコノミー社会の実現に取り組んでいます。
大規模プラントを動かすノウハウを持つ化学会社であり、かつ高度なバイオテクノロジーを有する当社が、発酵とケミカルズの融合を志したことからPHBHは誕生しました。
PHBHの特徴は、まず微生物が植物油を摂取し、ポリマーとして体内に蓄えたものを取り出した100%植物由来の材料であるということ。そして、微生物を培養することで生産され、微生物によって生分解されるという点にあります。
この特性を活かせる用途を根気強く考えるなかで、当社はマイクロビーズ(※)が社会的に大きな問題になりつつあることに着目しました。そこから海洋分解性のデータや、当時からプラスチック問題に厳しい目を持って対応していた欧州の法規制などの動きを追うようになったのです。このように、マイクロプラスチック問題を地球環境へのリスクと考える高い感性の目利きが、リスクをチャンスに変えることにつながったのです。

※ 洗顔料や歯磨き粉、化粧品などのスクラブ剤として1ミリ以下のマイクロサイズで製造されるプラスチックのこと。

BDP技術研究所 所長 博士(学術)千葉 健

BDP技術研究所 所長
博士(学術)千葉 健

PHBHの特徴とライフサイクル

微生物体内に蓄積されたPHBH(電子顕微鏡写真)

微生物体内に蓄積されたPHBH(電子顕微鏡写真)

PHBHの特徴とライフサイクル

ニーズを先読みし、適切な製品を市場ごとに展開

2019年6月のG20大阪サミットの主要議題の一つとして海洋プラスチック問題が取り上げられるなど、この問題は日本を含め世界的に広く認知され、具体的な対策や規制が打ち出されるようになりました。
当社ではいち早く高砂工業所にてPHBH生産設備を2011年5月から稼働させました。ただ、この時点では約1,000トン/年ほどの生産能力からのスタート。すべてのプラスチックをPHBHに置き換えるのは不可能であるため、問題解決に一番有効な手段や技術的な観点から用途および生産能力のロードマップを描いていくことになりました。
当社は、まず2020年までにレジ袋や飲料ラベル、ストロー、カトラリーといった用途のものから順次市場への展開を図っていきます。例えば、欧州の場合、コンポスト(堆肥化)という社会インフラや習慣があり、土の中で分解するということを求めているケースが多いといったように、個々の製品については各国の市場の状況にあわせながら開発を進めています。そして、2025年までにはPETボトルを代替するような製品の開発?導入を予定しており、とりわけ食品や飲料などに関連して使い捨てとなってしまう製品からその範囲を拡大していく考えです。
適用される製品の拡大に伴って生産能力も2019年末にこれまでの5倍の5,000トン/年に。さらに、2030年頃までに10?20万トン/年という規模に段階的に増強していく計画をしています。このようにPHBHの量産を具体的に計画できているのはカネカだけだと思います。

Green Planet推進部 Green Planet計画(日本)推進グループ マーケティングチームリーダー 黒澤 健児

Green Planet推進部
Green Planet計画(日本)推進グループ
マーケティングチームリーダー
黒澤 健児

PHBH開発?導入普及のロードマップと能力増強構想

図:PHBH開発?導入普及のロードマップと能力増強構想

製造と技術が一体となったモノづくりで安定品質?安定供給を目指す

発酵でポリマーを工業的に製造する技術は、世界に類を見ない試みです。研究室では良好な結果を得られていても、工場で量産するスケールになると、同じような結果はなかなか得られず、最適な培養条件や製造技術を調整しては、フィードバックするということを繰り返す日々が続いていました。当初は日に2~3回も製造機器を分解し洗浄しなければならず、量産などできない状況にありました。これも今では半年に1回程度で済むようになりました。こうした試行錯誤を経てようやく一定の品質に目途がついたのです。
今後さらに生産能力を向上するにはオペレーション技術を強化するとともに、AIやIoT技術を取り込み、コスト競争力のある生産性の高い製造現場をつくっていくことだと考えています。

砂工業所 BDP生産グループ 幹部職 北谷 陽一

高砂工業所 BDP生産グループ 幹部職
北谷 陽一

売るだけではない、理念や価値観を共有したビジネスモデル

今回のPHBHに関しては、海洋プラスチック問題といった社会問題が背景にあり、このような問題に手を取り合って対策を打ちたいという理念を共有できる企業を見つけられるかどうかが重要でした。そのため、生活者や社会の声に敏感なBtoCで、かつ強いブランドを持っている企業、ブランドホルダーや加工メーカーと一緒に共同開発を進めていくという、パートナーシップ型の新しいビジネスモデルの発想を具体化していくことを目指します。
機能を正しく伝え、用途を拡大させていくに当たっては、各国における認証取得や食品衛生、新規化学物質に関する法規制などの審査をクリアするといった点も重要となります。PHBHは、日本、欧州、アメリカなどの主要国で使用できる認可を得ています。

Green Planet推進部 総括グループリーダー 竹村 宗祐

Green Planet推進部 総括グループリーダー
竹村 宗祐

PHBHに関する認証取得状況

日本 欧州 米国
バイオマス由来 バイオマスプラ
A42001
生分解性 コンポスト
(高温)
グリーンプラ
A42001
コンポスト
(常温)
海水
土壌

〈一部グレード〉

食品接触
米国 米国食品医薬品局(FDA)の食品接触物質に登録
欧州(EU) 欧州委員会「欧州食品接触材料及び製品に関する規則」のポジティブリスト掲載
日本 ポリオレフィン等衛生協議会の食品用器具?容器包装のポジティブリスト掲載

経済的価値を実現し、持続可能な経営の仕組みをつくる

PHBHは、まさに社会に必要とされる価値とは何かを考え、それを他の企業やステークホルダーとも共有することで、価値を拡げようとしているところです。
日本国内では、セブン‐イレブン?ジャパン様の国内約10,000店舗において、セブンカフェ用のストローとして採用が始まっており、また、資生堂様とは化粧品容器の共同開発を行っています。海外では果物?野菜袋、ごみ袋、育苗ポット、コーヒーカプセルなど幅広い用途で採用されています。さらに、グローバル展開している多数のブランドホルダーともカトラリー、レジ袋、宅配袋、カップ蓋、紙コーティング、食品トレイなど幅広い用途で新規採用が進んでおり、5,000トン/年プラントはほぼフル稼働になる状態です。次の20,000トン/年の設備構想を詰めています。
私たちは「カネカは世界を健康にする。」という志を掲げ、独自の健康経営を進めています。社会的価値のある商品を世の中に提供することで経済的価値を生み出し、持続的に発展していく仕組みをつくるこのPHBHはその象徴の一つだと考えています。今後より一層社会に貢献していきます。

左から、黒澤健児、北谷陽一、千葉健、竹村宗祐

TOPICSG20大阪サミットにおいてPHBHを使用した各種製品を提供

2019年6月に開催されたG20大阪サミットの国際メディアセンターでは、各国の報道関係者に対して、日本の先端技術や環境問題への取り組みが紹介されました。当社ブースでは、海洋汚染問題への解決提案素材としてPHBH製のスプーンやフォークなど各種成形品や、海水中での生分解性を示すサンプルなどを展示。また、PHBHを使用したコンポスト(堆肥化)可能なごみ袋やカトラリーは、実際に会場で使用されました。
また、同年10月の「科学技術と人類の未来に関する国際フォーラム」においても、安倍首相が挨拶のなかで当社のPHBHに対する強い期待を表明しました。

G20で紹介?配布したPHBHを用いた文具類

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